弁護士の使命
弁護士法1条1項は、以下のような条文である。
「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」
基本的人権の擁護とは何だろうか。社会正義の実現とは何だろうか。
当地の民事部部総括の竹内浩史裁判官の著書『「裁判官の良心」とはなにか』には、以下のように記載されている。
「弁護士法1条1項の前段の「基本的人権の擁護」とは、憲法上の権利を侵害された依頼者を含めて、勝つべき事件は勝ちなさいと言っているのだと思います。他方で、後段の「社会正義の実現」は、勝つことばかりが仕事ではないということも含んでいるように思います。もしも、社会的強者の側の弁護をすることがあったとしても、なりふり構わずに勝とうとするばかりでなく、依頼者の顔を立てつつも、社会的に落ち着きのいい正しい解決に導くようにしなさいと言っているのではないでしょうか。」(p48)
気がつけば私も、もうすぐ弁護士4年目、独立3年目を終えようとしており、業務への慣れが感じられる頃である。
また、今年は、専門性の高い難事件であって責任も大きい案件を任されることも増えてきた。
私が取り扱っている/きた案件の内容をみても、竹内裁判官の仰る記載内容が何となく理解でき、共感できる部分が大きい。もっとも、社会的強者・弱者の区別は難しいように思え、同じ立場であっても状況によって強者・弱者は入れ替わるように思えるが。
勝つことだけでなく、落ち着きのいい正しい解決、というのは、学校関係の案件を扱っているときは、特に意識する。