弁護士コラム

三重県のいじめ重大事態再調査の報道機関向け委員長コメント

一昨日夜から昨日にかけて、令和4年に私立学校で発生した、生徒が心身の苦痛を感じる出来事に関する重大事態につき、三重県が再調査するという報道が多く流れた。

私は、三重県いじめ調査委員会の委員長として当該事案(R8第2号事案)を担当している。三重県いじめ調査委員会は、有識者が任命され、三重県から直接監督を受けずに独立した中立の立場で調査・審議を行う附属機関である。

第1回の委員会の後、私は、三重県いじめ調査委員会の代表として、報道対応を行った。各社の報道をみると、こちらの意図が伝わっている部分とそうでない部分がある。
そこで、私が取材対応で報道機関向けに公表したコメントのうち、差し障りのない部分(事案の概要でなく、事案への対処・調査のあり方に関する部分)を掲載する。

 

報道関係者 各位

(省略)

成長途上にある高校生の性に関する問題です。文部科学省の公表する「生徒指導提要」(令和4年12月改訂)では、「性に関する課題」という項目が13頁にわたり記載されています。しかし、当事者の認識に食い違いがあり事実認定ができない場合や保護者からの難しい要望がある場合など、困難な場面での具体的な対処法が記載されているわけではありません。決して、学校・教員の努力だけで簡単に対処できる問題ではありません。

対処に当たっては、保護者でも学校でもなく、子どもの視点を軸に解決を図ることが重要であり、子どもの意見表明権(すなわち、大人に対して自由に意見を表明して、年齢や発達の程度に応じて相応に考慮されること)が出発点になります。
学校・保護者・学校外の専門機関が適切に役割分担をして、それぞれの責務を理解して互いに協力しなければ、対象生徒・関係生徒双方の権利・利益を守ることはできないと考えています。

当委員会は、いじめ防止対策推進法・制度の趣旨に忠実に再調査を行い、関係者にとって有意義な提言ができるように努めてまいります。

令和8年6月30日
三重県いじめ調査委員会
委員長 村林 優一(弁護士)