解決事例cases

職業的な広域窃盗事件で執行猶予付き判決を得た事例

刑事弁護

状況

依頼者は、自身や家族の生計を立てるため、長年県内・県外にて、換金目的の窃盗を繰り返してきたとして、逮捕・起訴されました。 起訴された事件だけで10件を超え、被害総額も100万円を超えました。

当事務所がしたこと

逮捕直後から弁護人に選任されました。 2件目の起訴の後、保釈請求をしました。起訴直後の1回目の保釈請求は却下されましたが、第1回の裁判の日の後、2回目の保釈請求が許可され、その後は、在宅捜査による追起訴が進みました。 保釈後は、就業先を確保し、稼働収入を得ると共に、雇用主の方に依頼者の勤務態度を記載した陳述書を作成していただきました。 また、家族の協力を得て、全ての被害店舗への被害弁償を申し入れました。受け入れていただいた店舗には被害弁償を行い、残念ながら受け入れていただけなかった店舗の分は、法務局に弁済供託を行い、民事上の被害回復を図りました。 裁判では、有利な情状として、被害弁償や就業先に関する証拠を提出し、家族に証人出廷していただき、今後の監督を約束していただきました。

得られた結果

判決では、犯行の規模や被害額、職業的で常習性が顕著であること等から、実刑も視野に入るとされましたが、全部の被害の回復がされていることや正業に就いて更生する意欲があることが斟酌され、執行猶予(猶予期間は最長の5年)が認められました。

コメント

判決も指摘するとおり、犯行内容を見ると実刑の可能性も十分考えられる事案でした。1審の量刑判断には、ある程度の裁量が認められるため、実刑、執行猶予いずれもおかしくない状況でした。 窃盗等の財産犯では、金銭的な被害回復がなされているかが量刑上かなり重視されます。家族等の周囲の方に無理をお願いしてでも、可能な限りの被害弁償を尽くするのがポイントです。 今回は、全部の被害の回復がされたことが、執行猶予を得られる決め手になったと考えられます。 また、依頼者には、約20年前に同種前科がありましたが、そのような古い前科は、量刑上重視することはできないという点も、抜かりなく指摘しました。