解決事例cases

保険会社は怪我を否認したが、訴訟で人身損害の賠償を得た事例

交通事故

状況

依頼者は、バイクを運転中に自動車と接触する事故に遭い、首や腰に痛みが生じて、通院を開始しました。しかし、相手側の保険会社は、依頼者がバイクで転倒していないことなどを理由に、事故により怪我をしたとは認めないなどと主張し、治療費の支払いをしませんでした。依頼者は、労災保険を使って、約2カ月の通院治療をしました。

活動経過・得られた結果

確かにバイクで転倒はしていないものの、数十kmの速度で走行中に、生身の身体で自動車と接触したわけですから、接触の衝撃に加え、転倒を防止するために不意に身体に負荷をかけてバランスを取ったことも踏まえると、首や腰に怪我が生じるのは何ら不自然でないと考えました。

早い段階で相談・依頼を受けていたため、私は、依頼者に対して、相手側への怒りはわかるが、誇張をしていると思われないように、症状に見合った通院治療をするように助言しました。 依頼者は、主治医の指示の下で治療を行い、症状が軽減するにつれて通院頻度も減らし、痛みがなくなったタイミングで治療を終了しました。

治療終了後に直ちに訴訟を提起し、上記の受傷機転が事故態様に対して不自然でないこと、事故直後から通院終了まで症状が軽減するという自然な経過を辿ったことなどを指摘しました。また、依頼者は、事故直後にSNSに痛みなどの症状を訴える投稿をしていましたので、これらの投稿は、賠償に関する紛争が生じる前のものであって内容が信用できると指摘し、証拠提出しました。

裁判所は、事故により怪我を負ったことを認める前提で和解案を提示し、双方が受諾しました。訴訟提起から5カ月足らずで和解成立となりました。

コメント

このように、保険会社が、事故による怪我を否認し、治療費を支払わないケースでは、まず相手側の自賠責保険に被害者請求をするという方法もあります。しかし、自賠責保険の審査は、定型的・迅速な処理に比重を置いているため、細やかな立証には不向きです。また、万が一、怪我を認めないなどの悪い結果が出たとしても、十分な理由が示されるわけではなく、自賠責保険が怪我を否定したという既成事実だけが残ってしまうおそれがあります。

今回は、細やかな立証により裁判所に理解をしてもらうべき事案と考えたため、自賠責保険をすっ飛ばして、直ちに訴訟提起をしました。