治療費打切り後も通院を継続し、適正な賠償を得た事例
事例1(訴訟・一審和解)
状況
依頼者は、乗用車で信号待ちをしていたところ、追突事故に遭いました。頚部捻挫を負って、相手側の保険会社の治療費負担により、通院治療をしていました。しかし、保険会社は、車の損傷が大きくないことを理由に、事故後3か月足らずで症状固定に至ったなどと主張し、治療費の支払いを打ち切りました。 依頼者は、その後も健康保険を利用して通院治療を継続しました。治療期間は、合計6か月になりました。
当事務所の活動・成果
当事務所は、主治医から医療照会書を取り付けました。4か月目以降も治療を継続したことにより痛みの軽減がみられたこと、症状固定時期は事故の6か月後と見込まれることなどを確認しました。
そして、6か月の通院期間を前提とする治療費・傷害慰謝料・通院交通費を算定し、これらの支払いを求めて訴訟を提起しました。
加害者・保険会社は、訴訟でも、必要な通院期間は3か月を超えないと主張しました。治療費が打ち切られた3か月目の診断書には、経過順調で症状固定に至ったとも読める不利な記載もありました。
しかし、裁判所は、事後的な症状経過や主治医の意見も踏まえて、必要な治療期間を6か月と認める内容の和解案を提示しました。ただし、3か月目の診断書の記載や車の損傷が大きくなかったという依頼者に不利な事情も認められることを踏まえて、傷害慰謝料に限っては、3か月分と6か月分を足して2で割った中間的な金額を提示しました。
双方が裁判所の和解案を受諾し、訴訟提起から3か月余りで和解成立となりました。
事例2(紛争処理センター)
状況
依頼者は、二輪車で停車中に、大型自動車に追突されました。幸いにも加害車両は相当減速していたため、二輪車は押し出されたものの、転倒はなく、最悪の事態は避けられました。もっとも、頚部・腰部の捻挫を負って、相手側の保険会社の治療費負担により、通院治療をしていました。しかし、保険会社は、車両の損傷や転倒していないことなどを理由に、事故後3か月で症状固定に至ったなどと主張し、治療費の支払いを打ち切りました。 依頼者は、その後も健康保険を利用して通院治療を継続しました。治療期間は、合計6か月になりました。
当事務所の活動・成果
当事務所は、治療費の打切り後まもなく受任しました。直ちに主治医から医療照会書を取り付け、現時点で症状固定に至っておらず、今後も治療を継続することにより、症状の軽減が見込まれることを確認しました。
通院終了後、6か月の通院期間を前提とする治療費・傷害慰謝料・通院交通費を算定して、保険会社に賠償提示をしました。しかし、保険会社は、主治医の意見をもってしても、相当な通院期間は3か月との主張を曲げませんでした。
当事務所は、交通事故紛争処理センターに和解あっ旋を申し立てました。嘱託弁護士は、主治医の意見や通院期間を3か月で区切る根拠が乏しいことなどを指摘し、6か月の通院期間を前提としたあっ旋案を提示しました。当方は、あっ旋を受諾する意向でしたが、保険会社が受諾せず、審査手続きに移行することになりました。
審査手続きでは、保険会社に代理人弁護士が就き、当方も新たにカルテを提出しました。それらに基づく主張書面を往復させ、依頼者と共に審査期日に出頭しました。
期日では、審査員から、30分ほどかけて手続きの説明や事故状況や治療経過などの聴き取りを受けた後、裁定が出されました。依頼者の既往症の詳細が明らかになったこともあり、あっ旋案から若干減額されましたが、6か月の通院期間を前提とする損害算定がされた上に、当初の保険会社の提示より遥かに金額が高かったため、依頼者には満足いただき、裁定を受諾しました。
紛争処理センターへの和解あっ旋申立てから裁定までは3か月でした。
なお、保険会社は紛争処理センターの審査会の裁定を尊重することになっているため、被害者が受諾すれば和解が成立します。被害者が納得できない場合、裁定を受諾せず訴訟に移行することも可能です。