接見禁止準抗告でまた負けた
「…本件の事案の性質・内容(…)、被疑者及び共犯者の供述内容、被疑者と共犯者及び被害者との関係等に照らすと、被疑者が共犯者や関係者と通謀するなどして、犯行の経緯や動機を含む重要な情状事実について、、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があり、その罪証隠滅のおそれは勾留のみでは防止できない高度のものと認められる。この点は、被疑者が接見等禁止の付されていない先行事件についての勾留中に罪証隠滅行為に及んでいないといった弁護人の指摘する事情を考慮しても左右されない。…」
当地に登録替えして2年半ほどで、接見禁止の全部取消を求める準抗告や職権発動申立てを10件以上やっているが、通ったことがない(一部取消・一部解除はそれなりにあるが)。罪証隠滅のおそれが勾留のみでは賄いきれないほど高度だ、いやそうではないという話であり、裁判所と弁護人では見ているものが違う(裁判所は一件記録を検討しているのに対し、捜査段階の弁護人は接見で被疑者から聞いたことを頼りに事件の見立てを考える)とはいえ、自白事件であっても、共犯者がいて常習性が窺える場合、簡単に接見禁止が付けられている印象であり、もどかしい。
さらに今回の場合、共犯者や犯行態様が共通する先行事件で逮捕・勾留・起訴されたのであるが、先行事件の捜査中に接見禁止が付いていたのに対し、起訴後は接見禁止が付かなかった。
その後再逮捕されたのが本件なのだが、捜査側の都合により、先行事件の起訴から数日遅れての再逮捕だった。その空白の期間は、接見禁止が付いておらず、現に被疑者は知人数名と接見していた。
そこで、そのような空白の期間の接見で罪証隠滅を図った痕跡はない上に、とうの昔に本件を認知していたのに捜査側の都合で再逮捕の時期がずれ、空白の期間を作ったこと自体、接見による罪証隠滅がなされる緊急性もなかったことの証左だと論じたのに対し、返ってきた答えが冒頭の決定書である。
このような空白の期間ができると、身体拘束期間が延びて、保釈による釈放が遅れるという不利益を被る。それでいて、いざ逮捕・勾留段階では、罪証隠滅おそれが高度などといって接見禁止を付けるというのは、あまりに御都合主義ではないかと感じる。